6月のニュース「日経新聞から拾った経済の流れ」
●リスク管理を厳格化・・・金融庁は大手銀行や地域金融機関に対し、複雑な証券化商品のリスク管理を厳しくするよう指導する。証券化商品の裏付けとなる資産内容を把握し、将来発生しうる損失の分析に経営陣が責任を持つことを求める。米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題で多額の損失が発生したことを受け、再発防止に向けて銀行への監督を強化する。(30日)
●滞納9ヶ月で法的措置・・・日本学生支援機構(旧日本育英会)は延滞の増加が指摘されている奨学金の返済について、9ヶ月以上の延滞者全員に対して、法的措置をとることや、卒業生の延滞が改善しない大学の名前を公表することなどを柱とする返済促進策をまとめた。返済開始時期を現行の10月から、最初のボーナスが出た直後の7月に繰り上げることも健闘する。(30日)
●住宅ローン金利・・・上住宅ローンの金利の上昇が鮮明になってきた。ゆうちょ銀行は27日、子供が1人生まれるごとに住宅ローンの金利を0.1%下げる「子育て応援制度」を7月から始めると発表した。ゆうちょ銀はスルガ銀行と提携し、今年5月から住宅ローンの販売に参入している。現在扱っているほとんどの住宅ローン商品を新制度の対象とする。(28日)
●厚生年金入力ミス「560万件」・・・社会保険庁は27日、厚生年金の紙台帳記録を抽出調査した結果、コンピューター記録に推定で560万件のミスがあることを明らかにした。記録をオンライン化した1986年以前に厚生年金に加入していた約2700万人は受給額に漏れがないかどうか点検が必要だ。5千万件の「宙に浮いた年金記録」の解明も進んでおらず、野党などは批判を強めている。(28日)
●年金機構、人員2割削減・・・政府の年金業務・組織再生会議が27日にまとめる社会保険庁の組織改革の最終報告書案が明らかになった。2010年に社保庁の後継組織として発足する「日本年金機構」は正規職員数を現行から2割削減。懲戒を受けたことがある職員は正規職員として採用しない。ただ年金記録問題など増大する業務量にどう対応するかなど実務面の課題は多く、改革はなお手探りの状態だ。(27日)
●野村に業務改善命令へ・・・金融庁は25日、元社員によるインサイダー取引事件の舞台になった野村証券に、金融商品取引法に基ずく業務改善命令を近く発動する方針を固めた。金融業務の高度化に対応した内部管理体制を構築できていなかったと判断。会社全体が違法行為を犯したわけではないが、証券会社の信頼性を著しく損ねたとして結果責任を問う。(26日)
●上場企業4割実質無借金・・・上場企業の財務改善が進んでいる。手元資金が有利子負債額を上回る実質無借金企業は2008年3月期末に全体の4割を超え、連結決算での業績開示に本格的に移行した00年3月期末以降で最高となった。日本経済新聞社の調査で分かった。バブル崩壊後、過剰債務が経営の足かせだったが、リストラ効果や景気回復で収益力を強め負債返済を進めた。総資産に対する有利子負債依存度も3割を切り、世界的なインフレを背景とする金利上昇への抵抗力も増している。(25日)
●住宅ローン5.7%減・・・住宅ローンの落ち込みが鮮明になってきた。2007年度の国内銀行による新規の住宅ローンの貸出額は約14兆8000億円で、前年度に比べて5.7%減少した。2年連続の前年割れで、融資額は6年ぶりの低水準となった。改正建築基準法の施行に伴う住宅着工の減少や、不動産価格の上昇による需用の落ち込みなどが主因。大手銀行は金利や手数料の優遇などで、少ない需要を取り込もうと懸命だ。(25日)
●独、年金給付引き上げ・・・ドイツ政府はインフレ懸念の高まりに対応し、国民の所得支援に踏み切る。7月から年金給付額を1%強増やすほか、来年に住宅手当を増額する。食料品などの値上がりで中低所得層の不満が強まっているためだ。欧州各国は国民生活の安定策を打ち出す必要に迫られており、ドイツに追随する動きが相次ぎそうだ。(25日)
●新薬承認迅速に・・・厚生労働省は医療機関が薬の効能を検証する治験(臨床試験)の規制を緩和する。事前に必要な倫理審査について、参加するすべのの医療機関に義務づけるのではなく、中核となる研究機関が一括してできるようにする。最近は治験を海外と連携して実施する「国際共同治験」が増えているが、日本の対応の遅さが全体の足を引っ張る事態が問題視されていた。新薬承認を欧米並みに早め、患者が望む薬を入手しやすい環境を整える。(25日)
●エネルギー上位占める・・・原油など資源価格の高騰で株式時価総額でみた世界の企業の主役後退が鮮明になっている。上位3位までをエネルギー会社(エクソンモービル・ペトロチャイナ・ガスプロム)が独占した一方で、米金融機関や先進国のIT(情報技術)企業は後退した。昨年待つと比べブラジル、ロシアなど資源の豊富な新興国企業の上昇が目立つ。日本勢ではトヨタ自動車の21位が最高で、100位内は4社のみ(三菱UFJフィナンシャル・グループ・任天堂・NTT・キャノン)。時価総額の増えたエネルギー会社は今後積極的なM&A(合併・買収)に動く可能性がある。(23日)
●マンション在庫値下げ・・・マンション分譲大手の大京、ダイア建設は完成在庫物件の値下げ販売を始める方針を明らかにした。下げ幅は物件により異なるが、最大10%となる見込みだ。マンション需用の冷え込みに対応。地価や資材価格の上昇により建設コストが拡大する中での異例の値下げで膨らむ在庫の早期処分をめざす。一部の売れ残り物件を個別交渉で値引きする例はこれまでもあったが、完成在庫をほぼ一斉に値下げするのは珍しい。(22日)
●家庭用普及へ補助金・・・経済産業省は地球温暖化や原油高に対応するための新エネルギー政策をまとめた。太陽光発電を本格的に普及させるため、家庭向けに補助金制度や優遇税制を検討。今後3−5年で住宅用発電システムの価格を半額にする目標を示した。石油やガスの供給事業者にバイオ燃料や太陽熱などの新エネの利用を義務付ける制度を創設し、新法を来年の通常国会に提出する。(22日)
●学校耐震化・・・文部科学省が20日発表した耐震改修状況調査は、災害時に避難所になる公立小中学校施設の多くで耐震化が進んでいない現状を改めて浮き彫りにした。耐震診断を実施していない施設は全国で約4800棟にのぼる。耐震診断を今年度中に実施する予定がない市町村が26団体あることも判明。同省は「速やかに耐震化を進めてほしい」と呼びかけている。(21日)
●幼児教育の無償化検討・・・政府が月内にまとめる経済財政運営の(骨太の方針)の原案が明らかになった。教育分野の対策を充実するため、幼児教育を将来は無償にすることと、就学前の幼児がいる家庭への支援策を検討することを盛り込む。政府の機能見直しの一環として特別会計全般について「必要性・透明性の観点から総点検する」ことも明記した。(21日)
●自殺、10年連続3万人超・・・昨年1年間で全国で自殺した人は3万3093人で、10年連続で3万人を超えたことが19日、警視庁のまとめでわかった。昨年よりも2.9%(938人)増加し、2003年の3万4427人に次いで過去2番目の高水準。年齢別では、60歳以上の高齢者が全体の3分の1を超える1万2107人と過去最多になった。(20日)
●マンション駐車場を減らす・・・主要先進国で初めて日本の自動車保有台数が減り始めた。少子高齢化、若者のクルマ離れ、ガソリン高---クルマ経済の変容は、自動車経済だけでなく小売業や外食、建設・不動産など日本の様々な産業にモデルの転換を迫っている。(19日)
●証券化商品、リスク把握容易に・・・日本証券業協会が来年初めにも導入する証券化商品の統一開示ルールの原案が18日、明らかになった。証券会社が機関投資家に住宅ローンなどを裏づけとした証券化商品を販売する際、裏づけ資産の健全化など約50−100項目の開示を義務づける。米サブプライムローン問題が深刻化してから、国内の証券化市場は縮小している。投資家が証券化商品のリスクを把握しやすくして透明性を高め、健全な市場育成を促す狙いだ。(19日)
●社会保障財源、増税論・・・政府の歳出の中で年金や医療、介護などの2008年度予算では21.8兆円にのぼり、一般歳出の46.1%を占める。歳出改革で公共事業などの支出は削減が続くが、社会保障費は増え続けており、08年度は01年度の1.2倍に膨らんでいる。厚生労働省の推計では、高齢化などで社会保障給付全体は2011年度に06年度比1.2倍の105兆円にふくれあがる。(18日)
●家計金融資産1500兆円割れ・・・日銀が16日発表した2007年度末の資金循環統計(速報)によると、家計が保有する金融資産残高は前年度末に比べ3.6%減の1489兆6147億円になった。前年末の1500兆円割れは3年ぶり。株価下落で株式の評価額が目減りしたことが響いた。一方で現金・預金や国債は過去最高。個人マネーが市場の混乱を避け安全資産におカネを振り向ける姿勢も明らかになった。(17日)
●税納付、ネットで簡単に・・・政府・日銀は、法人税や消費税などの国税や特許料、関税をインターネットの簡単な手続きで納めることができる仕組みを導入する。現在は納める分の印紙を貼った書類を提出するなどの方法がほとんどだが、新たな仕組みでは政府・金融機関と口座振替の契約を結んでおけば、申請から代金引落としまでの一連の手続きがネットで完了する。(16日)
●変額年金損失1100億円・・・運用次第で受取額が変わる変額年金保険で、住友生命保険など生保6社が2008年3月期に計1126億円の損失を計上したことがわかった。変額年金には年金原資を最低保証する商品が多く、株安や円高で運用成績が悪化したために穴埋めを迫られた。変額年金は銀行窓販の主力商品で開発競争が激しいが、生保には高度なリスク管理も求められそうだ。(14日)
●負担軽減や天引き免除・・・政府・与党は12日、75歳以上を対象に4月から始まった後期高齢者医療制度(長寿医療制度)の運用見直し策を正式に決めた。低所得者の保険料負担を減らしたり、保険料の年金天引きを一部見直すなどが柱。ただ今年度560億円を見込む必要財源をどう手当てするかは明示しなかった。財源のメドがたたず検討を先送りした項目もあり、年末の予算編成に向けて火種を残した。(13日)
●悪質商法、規制厳しく・・・悪質な訪問販売などを規制する改正特定商取引法と改正割賦販売法が11日成立した。しつこい勧誘の禁止など販売ルールを厳しくするほか、販売方法に問題があれば消費者は既に払った代金の返還を求められるようになる。高齢者に高額商品を売りつけるといったトラブルが増加しており、訪問販売・信販などの業界団体は被害者救済や悪質業者排除へ動き出した。(12日)
●大手損保、一斉引き上げ・・・大手損害保険各社が一斉に自動車保険料を引き上げる。東京海上日動火災保険と三井住友海上火災保険は7月、平均1−1.5%上げる。保険料の割引などが進み、収支が悪化したためで、収支が改善しなければ再引き上げも検討する。一方、インターネットなどで販売する直販損保の一部は値下げに動き始めている。ガソリン価格の上昇が長期化すれば消費者が直販商品にシフトする可能性もある。(12日)
●経済成長戦略まとまる・・・政府の経済財政詰問会議は10日の会合で経済成長戦略をまとめた。若者を中心とした雇用の拡大や羽田空港の国際化、先端技術の育成などを進める。人口減社会を迎えても、今後10年間は物価変動の影響を除く実質で2%以上の経済成長を目指す。福田政権が発足してから初の成長戦略だが、抜本的な制度改革につながる施策では踏み込み不足も目立つ。(11日)
●米、ドル防衛に傾斜・・・米国がドル防衛に傾斜し始めた。大統領、財務相、連邦準備理事会(FRB)首脳がほぼ同時にドル安に懸念を表明、これまで否定してきた介入も視野に入れる構えを示した。ドル安が原油高を招き、食料高とも連動して世界全体にインフレが及ぶシナリオを回避するのが狙いだ。10日の東京市場は介入やインフレを材料に揺れた。(11日)
●保険料収入2.7%減少・・・生命保険協会が10日に発表した国内生保40社の2007年度の事業概況によると、死亡保障や年金商品などを合算した全体の保険料収入は前の年度比2.7%減の27兆230億円だった。保険料収入の減少は2年連続。不払い問題の影響で主力の死亡保険の新規契約が低調だったほか、変額年金保険など年金商品も伸び悩んだ。(11日)
●原油にマネー再流入・・・原油価格が再び騰勢を強め、世界経済を揺さぶっている。主要8カ国(G8)と中国、インド、韓国のエネルギー相は週末に開いた会合で、原油高を「異常な水準」とけん制したが、週明け9日も中東産ドバイ原油は過去最高値をつけた。原油相場は5月下旬の最高値更新後に一時下落していたが、ドル安と国際政策協調の難しさから、投機マネーの再流入に見舞われている。(10日)
●三菱化学、植物工場に参入・・・三菱化学は2009年にも、野菜などを効率的に栽培・収穫できる植物工場事業に参入する。植物工場を運営する事業者向けに、発光ダイオード(LED)と太陽電池を組み合わせた証明システムを発売する。太陽光を有効活用することで証明に必要なコストを3割減らし、二酸化炭素(CO2)排出量をほぼゼロにできるという。植物工場の課題だった省エネを実現し、都市部などでの植物工場の普及に弾みをつける。(5日)
●国内マネー定期預金へ・・・家計や企業が普通預金や投資信託などから定期預金に資金を移す動きが鮮明になっている。日銀のまとめによると、4月の定期性預金残高は327兆円(速報値)と前年同月比5.5%増えた。米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題が表面化した昨夏以降、金融証券市場が不安定になったこともあり、投資信託への資金流入は細っている。投資資金を一時的に滞留させる受け皿となる普通預金なども減少している。(2日)
●所得比例部分も軽減・・・75歳以上を対象に4月から導入した後期高齢者医療制度(長寿医療制度)の見直し案で、与党は保険料を軽減する対象を拡大する方向で検討に入った。所得が比較的高い人が負担する「所得比例負部分(所得割)」にも軽減措置を新たに導入する。具体的には年金収入が年153万−208万円の高齢者を対象に所得割りの保険料を25-100%軽減する。(2日)
●全車両を電気自動車に・・・日本郵政グループの郵便事業会社は今年度から、所有するすべての自動車(約2万1千台)を電気自動車に切り替えてゆく。環境問題が深刻になっているほか、ガソリン価格が急上昇したこともあり、他の民間企業に先んじて切り替えを進める。全国の主な郵便局に電気自動車用の急速充電装置を設置する方針で、一般の利用者が使えるようにすることも検討している。自動車メーカーの開発競争を加速させるとともに、充電所の整備が進めば電気自動車の普及を後押ししそうだ。(2日)
●出生率2年連続上昇・・・2007年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産むと推定される子どもの数)が、2年連続で上昇し、1.33-1.34程度となったことが分かった。微減だった出生数に対し出産期にあたる女性の人口の減り方が大きく、一人当たりの数値を押し上げた。出生数が増加した06年とはことなる比率上昇で、改善傾向の定着とはいえない面もある。官民一体の少子化対策は引き続き課題だ。(1日)
